国内留学体験記:伊藤 舞

国内留学を経験して ~愛知医大 末梢神経ブロック研修~

藤田保健衛生大学医学部 麻酔・侵襲制御医学講座 伊藤 舞

2013年12月~2014年1月と2ヶ月間、愛知医科大学麻酔科学講座に末梢神経ブロック研修に行かせていただきました。

今回のお話が出た際に、研修から6年間ずっと当大学に在籍していたため、他施設の麻酔方法や術後管理に触れてみたいと思ったのと、最近抗凝固をされている患者さまが多く術後鎮痛の方法が自分の持っている技術では限られてしまうことにもどかしさを感じることが多くあったため、すぐに研修希望を出しました。他にも多くの希望者がいたにもかかわらず、今回の研修に行かせていただき、貴重な経験をすることができて本当にうれしく思います。

当講座と愛知医大麻酔科との交換留学という形で始まった2ヶ月ずつの研修でした。私で当講座から二人目でしたが、一人目が准教授の山下先生であったため、あまりの違いに愛知医大の先生方に申し訳なく思っていましたが、初日に藤原教授をはじめ、愛知医大麻酔科医局の先生方に快く迎えていただき、ほっとしながら研修が始まりました。

研修当初は、藤原教授や医局の先生方のブロックを拝見させていただき、その後は藤原教授や医局の先生方の指導の下、自分でブロックさせていただくようになり、たくさんの症例を経験することができました。当初は超音波で上手くブロック針の描出をしながら神経や筋膜面等に到達することができず、時間がかかっていましたが、丁寧に何度も何度も教えていただき、段々と上達していくのを感じることができました。ただ、針とエコー、神経との位置関係が複雑になるブロックはやっぱり難しく、研修の後半でも何とか自分で施行することはできても時間がかかってしまっていましたが。。。今回の研修でTAPブロックや腹直筋鞘ブロック、大腿神経ブロック、大腿外側皮神経ブロック、腕神経叢ブロック(斜角筋間アプローチ)、坐骨神経ブロック(膝窩アプローチ)、閉鎖神経ブロック等々さまざまなブロックを経験させていただきました。また、神経ブロックの教科書を読むだけでは勉強できない、末梢神経ブロックを併用した全身麻酔の術中管理の方法や実際の術中の変化も学ぶことができてとても勉強になりました。初日に神経ブロックを併用した全身麻酔を見たときのアルチバの量の少なさにとても驚いたのを今でも覚えています。当大学では開腹手術であれば硬膜外麻酔の併用も行いますが、多く行われている腹腔鏡下手術では、長時間手術以外フェンタニルの持続静注も行わず、疼痛コントロールは術直後から外科の病棟での指示に委ねているのが現状ですので、末梢神経ブロックを上手に取り入れていきたいと強く思いました。

愛知医大麻酔科学講座は当講座とはまた違った雰囲気でしたが、藤原主任教授をはじめ、前教授の小松名誉教授や明石教授、木下教授、畠山教授といった教授陣と医局の下の先生方とが和気あいあいと働かれているのが印象的でとても雰囲気のよい働きやすい講座でした。また、時短や非常勤など様々な勤務体系でいろいろな先生が多数働かれているのにも驚きましたこのように多くの人が所属して違和感なく働けるのは医局がいい雰囲気だからなのだな、と感じ、当医局でもこれから増えていくといいなと思いました。

今回、人員が少ない中、2ヶ月間と長期間にわたり研修に行かせて下さいました西田教授、医局の先生方、本当にありがとうございました。また、お忙しい業務の中、慣れない私に時間を割いて直接末梢神経ブロックを教えて下さった藤原教授、愛知医大麻酔科の先生方、本当にありがとうございました。学ばせていただいたことを当大学に還元できるよう精一杯頑張りたいと思います。