海外留学体験記:栗山 直英 No.1

くりやまくんの四方山話

【留学先】ハーバード大学医学部マサチューセッツ総合病院(MGH)麻酔科

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さて、みなさんこんにちは。早いもので渡米してから1ヶ月ちょっとたってしまいました。初回の今回は留学決定から、こちらに来て生活を初めて私が感じたことのお話をしましょうか。

始まりは、教授からの「留学にいけることになるかも?」との突然の話からでした。その後、金木先生にあうために急遽shock学会に演題を登録し、実際に金木先生にお会いしてからトントン拍子に決まってしまいました。英語でのemailのやり取りを開始し、VISA、DS2019の申請を行いましたが色々とトラブルがあり、結局書類関係は締め切りギリギリになってしまいました。(詳細はいずれお話します)

これまで臨床しか経験したことも無く、留学が決まってからの僅かな間に下村先生、須賀先生、加藤さん、佐藤先生にマウスの取り扱いや、FACS、pipetの扱い方など基本的なことを詰め込んで貰いました。(結局、そこそこの値段かかった自前のpipetはチップが合わず、MGHで使えなかった、、、、なんてことも。)

集中治療学会、血漿分画セミナー、あん症こん症の執筆などの仕事が忙しかった事と、消費税増税に伴う駆け込み引っ越しが増えていたのもあり、出発までかなりドタバタとしてしまいました。直前までnetでみた留学生活で必要そうな物を買い漁りました。実際に飛行機に乗ってからようやく落ち着いた感じでした。New Yorkで乗り継ぎの予定でしたが、、、1時間30分くらい余裕を持っていたのに。New Yorkさすがに混んでいて入国審査終わるまでに2時間以上で結局乗り過ごし。急遽Bostonまでの飛行機を探す事になり、JFK空港からラガーディア空港までバスで移動する事に。ほんとに不安なスタートでした。ホテルについてから時差ぼけなのか、今更の先行き不安なのかで入眠に困った事の無い私が寝られず、2時間ぐらいで早朝覚醒の日々? 鬱々とした毎日が始まりました。

なんやかんやでBostonまでたどり着いてから、2日間ホテルに滞在した後アパートに移りました。家具を事前にレンタルするという選択肢もありましたが、値段が高い。ほんとに高い。家賃も半端無く高いのに、これ以上の出費はしたくないので、キャンプ用のエアーベッドを買い、とりあえず寝るところだけは確保して渡米3日目にはラボへ挨拶にいきました。部屋の準備もできていないうちに出勤する事なりました。ラボの先生は金木先生以外に2人おり、ともにPhDを取得されている先生で、佐賀からきている外科医と、東京からきている麻酔科医で現時点では日本人のみ。基本的にラボ内では日本語でやり取りができるのがとても助かっています。研究の実績が無い事を考慮して頂いているためか、私の仕事は熱傷の臨床研究を担当する事になりました。大学でも経験させて貰っていたPBMC、PMN、PLTの採取をする事になりました。ノートをみて同じようにやってもあれ??あれれれ?巧くいかない。下村先生にemailをして逐一相談しながら、、、、唯一できるようにしてきたはずの事もまともにできない。かなり凹む毎日が始まりました。臨床研究なのでMGH main campusのBurn Unitに行き、治験coordinatorと打ち合わせ。下村先生からBostonの英語は早口だと言われていたが、、、ほとんど理解できず、こっそり撮っておいたボイスレコーダーで再確認をしても半分も分からない。研究もできない、話もできない、何一つまともにできない、私だけが何もできない。この間に上達したのは、自己採血だけでしたね。毎日自分で採血して、自分の血液20-30mlで、いつ始まるか分からない臨床研究に向けて準備をする毎日。それでも、やる事がある、できる事があるという事実が救いで毎日やっていました。それは今でもあまり変わりがありませんが。。。

MGHのlabですが、最初の印象だと建物は非常に奇麗ですが、それぞれの物品はお世辞にも良い物とは言えず、藤田の方が機器などの面ではとても恵まれていると思いました。実際に、MGHからお金がでる訳も無く、個々のlabがそれぞれのGrantを使って機器を購入しているので致し方なしというのが現状のようです。FACSをするのに$40-70/時間もするので、本当にびっくりしました。まだ実感してはいませんが、ここの凄いところは他のlabとコラボレーションしたときに分かるようです。MGHでしかできないことがどうやら沢山あるようです。いつか本当の素晴らしさが分かる時が来るのかな?

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ボストンの街並み

ここまでの1ヶ月間、留学の楽しさはまだ実感できていません。生活に慣れるのが精一杯、って感じです。できない物はしょうがないってわり切ってから、鬱々とした日々からは脱却しました。明確な目的、覚悟も持たずに来てしまった自分の甘さが一番の原因ですね。ただこっちに来て、日本にいたときには考えもしなかったsignalなど基礎的な内容に触れる事で、これまでと違った所に興味が向くようになりました。「なにか一つでも持ち帰る事ができる様に」を目標に今はやっています。

勤務時間ですが、日本人は遅くまで働いています。外人は4:30くらいにそそくさと帰り、土日は殆ど見かけません。日本人PIのラボはどこも遅いようです。が、臨床で留学している先生の話を聞くと、科にもよりますがもっと悲惨ですね。。。私はまだ研究が本格始動してないので、時間に余裕があり、週末に少しずつBostonを徒歩で探索しています。 (10-15km/日は歩いています)

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ボストン navy yard

今後は楽しいところをもっとご紹介できるように準備しますね。

ちなみに、カルフォルニアワインは安くて$10ぐらいで結構沢山種類があり、どれもおいしいです。