海外留学体験記:栗山 直英 No.2

【留学先】ハーバード大学医学部マサチューセッツ総合病院(MGH)麻酔科

留学前までにやらなければならない事

留学前までにやらなければならない事。またやり残しを発見してしまいました。

ん?なんか痛いな。とりあえずロキソニンでも飲んでおくか、から始まったのが今回の出来事です。皆さんもご存知かと思いますが、海外で医療機関に受診するとかなりの高額請求をされます。

頭痛かな?副鼻腔炎かな??虫歯かな? 薬はたくさん持ってきているし、必要なら薬局でたくさん売っているけど、、、虫歯なら嫌だなあ~~。

恐る恐るカメラでみてみると、うん、虫歯だな。日本で出発直前に歯科受診したときは「1-2年なら大丈夫」って、言ってたくせに。生活環境が変わったからかな?ま、痛いからしょうがない。歯医者を探すか。

Netで歯科受診を調べてみたら、なんと、、、虫歯を直すのに保険が無いと$1000くらい費用がかかる事が判明。自分の保険を調べたら、10万までは保険でカバーされるようで、よかった、よかった。

ボストン、歯医者、日本人で調べてBrook House Dental Associatesに電話してみました。『予約は~~、今日無理だと次は10日後ですね。』うん、そんなに待てないな、bossに許可を取り行ってきました。全て日本語でOK、むしろ日本より状況、今後の予測、コストなど分かりやすく説明してくれました。虫歯治療だと$200くらいで、歯根部の処置が入ると$1000くらいと言われ、虫歯治療ですむ事を祈りながら治療を開始してもらいました。

じゃあ、最初に麻酔を~~って。浸潤麻酔してから局注。よしよし、麻酔が効いて痺れてきたぞ。最近の局麻は痛くないのかと感心しつつ。おや?なんか喉のほうまで痺れてきたな。開口器で口を大きく開けられているせいか、鼻の通りが悪いせいか、何となく息苦しい気がしてきた。もしやここにきてアナフィラキシー??なんて思いながら治療を受けました。心拍数はドキドキドキドキ、どんどん早くなり、こっそり血圧を触知しながら治療を受けました。結局そんな事を考えているうちに、治療は終わりました。

虫歯の治療なんて12〜3年ぶりで、色々変わっているのでびっくりしました。もう治療後数時間絶飲食なんて言われないのですね。(風邪のときのお風呂とおんなじ衝撃でした)結局$200ぐらいですみました。保険入っていて良かった、と思っていたら。保険の開始日が契約後90日たってからなんて書いてあるじゃないですか。結局自費治療になってしまいました。痛みが取れたから、まあいいか。なにはともあれ、ちゃんと歯科治療をしてから渡米するべきでした。まだ3本ある親知らずが、危ないと言われたことが、とても気になります。

私はこれまでに短い海外旅行しか行った事がなかったので、海外での医療の現状・医療保険を今回初めて知りました。いやいやそれにしても、アメリカでの医療費は本当にどれも高いですね。良い保険に入っていないのに、ついうっかりICU管理なんかになってしまったら、、、恐ろしいですね。私たちのICUでの普段の治療方針は、費用の関係でアメリカでは極一部のヒトにしかできないですね。長期滞在型ICU、あり得ないですね。仮に長期滞在で何とか助かったとしても、その後が大変そうですね。ましてや請求だけが残された日なんか、、、。どうなるのでしょうか?

こちらの臨床の現場はどんな感じなのだろう?ICUではどんな事をやっているのだろう?非常に興味がでてきました。

ま、こんな医療状況が違う国と日本の治療(特にICU)を比べ類未は無いかもしれませんがね。あと気になるのは、この国の皆さんはどのくらいまで我慢してから病院に受診するのか。受診できずに亡くなっているヒトもどのくらいいるのだろうか?気になります。自分自身いつ、どのタイミングで受診すれば良いのか。

最後に、日本の国民皆保険は素晴らしい制度ですね。始めた治療をいつまで、どこまでやるかの問題は別として。いつでも医療機関に受診できる幸せを今回感じました。