留学体験記 -Boston便り:中村 智之 No.1

【留学先】ハーバード大学医学部マサチューセッツ総合病院(MGH)麻酔科

早くもボストンに来てから3か月が過ぎようとしています。ようやく生活のセットアップに一段落がついた状況で、箪笥などなく、未だにトランクを収納としてフル活用しています。

今回の留学には、妻と子供3人(10歳男子と3歳双子)を連れて引っ越ししました。出発前は、銀行の手続きやnetで見た留学生活で必要そうなものを買い漁り、飛行機に乗る直前までバタバタしました。実際に飛行機に乗ってから無事出発できたことにようやく一息つきました。ボストンに到着すると、がらんと何もないアパートのキッチンで段ボール箱をちゃぶ台替わりに5人身を寄せ合いながら夕食をとり、こちらでの生活が始まりました。翌日から、車の購入・自動車保険の契約・ソファーなど大型家具の購入、と出費にドキドキしながら多額の買い物を一気にしました。

ボストンはとても綺麗な街です。市内から約30分離れた郊外にアパートを借りましたが、緑が多く公園もたくさん有ります。我が家からは、歩いて数分で湖を望む広い公園に行くことができます。散歩していると様々な言語が聞こえてきます。スペイン語・中国語はもちろん、ドイツ語・フランス語・ヒンディー語・アラビア語、それにどこか特定できない東欧っぽい言語(?)も。ボストンの家賃はとても高いことで知られています。とても高い家賃を払っているにも関わらず、あまりに安普請。私が歩くと軽く地響きがします。当然子供たちが少し興奮すると・・・。そして案の定、入居1週間も経たないうちに階下の住人からクレームが来ました。アメリカ人にまくしたてられて怒られるのはとても嫌なものですが、早すぎてあまりよく分かりませんでした。それからは学校が始まるまでの2週間、毎日午前午後の1回ずつ妻は子供たちをせっせと外に連れ出し公園を転々として、有り余るエネルギーを発散させる必要がありました(犬の散歩?)。

自分の分もですが、子供たちの生活のセットアップも進めなければなりません。まず保育園児ですが、ボストンの待機児童は非常に多いことにびっくりしました。2.9歳から受け入れの保育園に、皆さんは出産する前から待機児童として登録しておくそうです。ボストンでは兼業主婦が増えているとのことで、新設の保育園もどんどん満員になっていました。公園で知り合った人の話では、待機している間は近所同士でのNanny share(家政婦さんを共有すること)が多いそうです。しかし保育園に入れたとしてもどこの保育料も非常に高額で再び驚きます。アメリカでは子供はとても大事にされますが、子供を持つかどうかの選択は親がしたという考えのもと、保育料のサポートはほとんどないようです。二十か所ほど電話をし、家から離れた新設の保育園に何とか双子たちを入れることができました。二人とも初日から保育園を楽しんでいるようで、毎日顔・手・服に派手に絵具を付けて興奮気味にドヤ顔で作品を持ち帰ってきます。英語は理解できていませんが、仲の良いドイツ人の同級生と、それぞれが自国語でしゃべり合いながらコミュニケーション(?)を図っているようで、最近では英語のNoの代わりに、ドイツ語でNineと言っています(英語を先に喋ってほしい・・・)。

長男(義務教育万歳!)は小学5年生に転入しました。日本の学校と最も異なるのはネットを多用することです。学校の準備用品の一つにiPhone用イヤホン。成績・宿題は毎日オンラインチェックできます。親は先生とLINEのようなツールでリアルタイムのやり取り。驚くことに数分で返事が返ってきます。(先生は26人の親を相手にして大変!)教科書もネット上でアクセスできます。新学期開始とともに様々なアプリをインストール。学校から渡される数々のパスワードをひたすら打ち込みました。日本のようないわゆる「部活」はありませんが、選択制で様々な課外活動があります。こちらの子供たちに人気なのはスケート・野球・バスケと意外にもサッカーです。長男は放課後テニスと陸上に参加し、この冬からはスキーにも参加します。スキーは毎週火曜日の学校終了後に学校から40分ほどのスキー場にバスで連れて行ってもらえるもので、本当にうらやましい限りです。長男はABCすら上手く書けないほど全く英語はダメですが、男子は男子同士、何か通じるツールがあるようです。会話はなくてもいつの間にか追いかけっこやボール投げが始まっています。お弁当におにぎりを持たせると、興味を持つ子が多いようで物々交換であっという間におにぎりはスイカやサンドウィッチに変身しているようです。「何言っているかまるでわからない」と言いながらも楽しそうに学校に通っている長男をみて少しほっとしています。

こちらは急に寒くなり、初雪も降りました。午後も四時半になるとほぼ真っ暗です。話に聞くマイナス20度の冬はどんなものなのか想像がつかず、持参した中で最も分厚いコートをいつ取り出そうかとドキドキしています。

最後にこのような貴重な機会を可能にして下さった、西田教授をはじめ医局の先生方に心より御礼申し上げます。

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ERの舞台とされたMassachusetts General Hospital

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近所の風景

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隣の湖