海外留学体験記:栗山 直英 No.23

くりやまくんの四方山話

【留学先】ハーバード大学医学部マサチューセッツ総合病院(MGH)麻酔科

Bostonの3月は、冬の終わりと春を感じる季節です。Charles Riverの氷も溶け、日照時間も長くなります。今年はそれほど寒くありませんでしたが、それでも-10度前後まで冷え込んでいた朝夕も暖かくなりました。2年前に渡米した時、5-10度位しかないのに半袖で街中を歩く人々を見てcrazyと思いましたね。2度の冬を経験した今となっては、半袖になりたい気持ちもわかります。

まずは、研究に関して。何をやっているかなどはここには書けませんが、皆さんに知ってもらえるように論文にします。今やっている基礎研究は、正直すぐに臨床に役立つものでもないですし、どのくらいの人が興味を持つのかわかりません。ある特定の条件、環境においてのみ言える事象であり、自分としては有意義なものと強く信じていますが、実際のところはわかりません。それでも、小さいかもしれませんが医学の大きな流れの中の歯車の一つになればと思っています。臨床に直結する臨床研究ももちろん大切ですが、メカニズムを詰める作業も面白いなと感じています。成長なのかわかりませんが1μL (1mLの1/1000の量)をみても、少なすぎるとは感じなくなりました。また、もともと動物は好きでしたが、mouseを可愛がっています。恐々触っていた時はmouseも警戒して、隙あらば噛み付いて来ようとしていましたが最近はそのようなこともなくなりました。(ナウシカ気分でテト(mouse)と戯れています)

日本の病院、大学も完全週休二日制のところが多いようですが、labのある149のビル内も土日は休日モードです。私は家からlabがとても近いので問題ありませんがshuttle busも間引いた運行ですし、cafeもやっていません。他のlabは休日には殆ど人がいませんが、金木labは必ず誰かが来ていますし、全員来て普通に仕事をしていたこともありました。金木先生も来られるので、土日なのに金木先生とのdiscussionをする時もありました。以前、金木labにいた先生の話では『2-3年の留学期間で結果を出すなら80-100h/week実験しないとね〜』なんてことを言われたとか。その時間を目指すなら、土日に実験しないとちょっと厳しいですよね。自分の意思で留学を決めたのだから当たり前だ、と言って仕舞えばその通りなのですが。いかなる状況でも、自分の趣味と思い込めば、楽しくやれるはず!

今となっては時代遅れの意見かもしれませんが、自分の意思で留学、入学、就職、入局したのであれば、与えられた仕事、環境で努力するのは当然のこと。最初は右も左もわからず面白みを感じなくても、継続すればどこかに興味を持ち、それを解決することで自然にプロフェッショナルに育っていくはずと思っています。その仕事の内容が自分に合うか合わないかは、本人が決めることではなく、周りが決めること。仕事ができるまで、なるべく現場を見て先輩たちの技術やコツを盗み、ただひたすら経験を積む。コミュニケーションをとり進達状況を把握して、実際に処置などを行う機会を与える/最終的な責任を取るのが上司の仕事だと思います。任せられるか、任せられないか。その判断は難しいものがあります。特に臨床での処置/判断など、一旦tryさせた後、どこまでやらすかの判断は難しいものです。(未熟者の私は、ついつい自分でやるという選択をしてきました)

やってみたい仕事があれば、任せてもらえるように努力し、結果を出す以外方法はないですね。日本に帰ってからやりたい研究が幾つかあります。研究には莫大な時間とコストが必要なので、今のままでは、やりたくてもできません。やらせてもらえるように成果を出して、なんとか研究できる素地を作らないと。

写真は麻酔科医の聖地? Ether DomeとCharles Riverに発生した川霧です。-22度の朝に撮った写真です。霧の彼方に見える空港とdowntown.