集中医療医学

集中治療医学とは「臓器不全の学問」

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重症患者の病態は、原疾患が異なってもその病態は共通した部分が多く、重症になればなるほど、その病態は複雑になり単一臓器の疾患に留まらない、という特徴があります。呼吸不全、循環不全、敗血症性ショック、DIC、急性腎不全など様々な臓器不全がありますが、これらは合併することが多く、不全臓器数が増えるほど、その救命率は指数関数的に下がってきます。これらの患者に対し「内科系、外科系を問わず、呼吸、循環、代謝その他の重篤な急性機能不全の患者を収容し、強力かつ集中的に治療を行うことにより、その効果を期待する部門」がICUと定義されています。そのため集中治療医学とは「臓器不全の学問」であると言えます。

集中治療とは「滴定治療」

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集中治療とは、絶え間ない患者の観察と生命恒常性の制御を行う場です。様々な機器や薬剤などを駆使し、決定的な危機の回避を実践する究極の対症療法学です。

集中治療室にいる患者は、体のどこかに既にcritical damageを受けている重症患者です。集中治療管理とは、場合によっては手術を受けている患者よりもはるかに重症な患者の全身管理です。手術室で術中に部屋を離れる麻酔科医はいませんよね?われわれはいつも「ベッドサイドで麻酔をかける」つもりで治療を行っています。そうすることではじめて、目の前の患者における適時・適材・適所な対処・薬剤・機器を判断することができ、必要なときに必要な薬剤・機器を使用し、その時々で何が最もcriticalか?を判断した上で治療の優先順位を決定していく、きめ細やかな滴定治療が実践できます。

Closed System

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ICUの運営形態には、大きく分けてOpen systemとClosed systemがあります。滴定治療のためにはICU専従医が存在し、主治医と密な連携を保ちながら治療を行う、いわゆるClosed SystemのICUであることが絶対条件です。

Open systemとはいわゆる各科管理のICUであり、主治医がそのままICUでの管理も行う形態です。Open systemは運営自体は簡単にできますが、当然ながら主治医はICUの患者の治療にのみ専従することは不可能であり、患者の状態に合わせた、きめの細かい管理には限界があります。特に、刻々と状態が変化するような重症患者の管理には不向きです。また、急変時の適切な対応が遅れることも多く、看護スタッフのストレスも大きくなります。さらに、主治医の守備範囲を超えた多臓器不全の症例では治療成績を上げることが困難になります。

これに対し、Closed systemではこれらの欠点がなく、Open systemにくらべて治療成績も良いことが海外の報告でも明らかにされています。ただし、Closed systemには専従医と主治医との連携を密にするため、カンファレンスなどを含むシステム作りなどの運営努力が必要です。また、常時専従医が常駐するにはマンパワーが必要で、専従医のレベルも各分野に精通した重症患者管理学や臓器不全の管理に長けた高いレベルが要求されます。しかしそれにより、急変時の対応に優れ、多臓器不全の治療が可能になります。このような性質より、ICUは病院の中央部門であり、「病院の中の病院」「Hospital in hospital」といわれ、非常に重要な位置づけになっています。

われわれのICUの3本柱

われわれのICUは、以下を治療の3本柱としています。

  1. 急性血液浄化法
  2. 経”空腸”栄養
  3. 急性期呼吸リハビリ

これらは互いに有機的に繋がり、相乗的に治療成績の向上に貢献しています。